弊社のログキットはパイン100%です
ウチのは全部ウエスタンレッドシーダーですよ
かつてログハウス輸入業者の謳い文句は、デザインよりも材料の品質やスペックなどを前面に出している時代がありました。
「本当にそうなのか?」
客の立場としては、業者側の言うことを信頼する以外、それを確かめる手段があっただろうか?
輸入されるログキットのボリュームは国際輸送コンテナ複数本
我が家のキットは40ftコンテナ2本 20ftコンテナ1本というボリュームだ
その量たるや莫大・・・とても材料の1つ1つをチェックするなど不可能だし、そもそもチェックできたとしても素人が木を見ただけで「これは何の木」などと判断などつけられる訳がない。
杉の中に檜が混じっていると言うような簡単なレベルではないからだ。
ホームセンターでSPFと称されて売られているツーバイ規格の輸入材、以前にも書いたがSPFなどという植物は存在しない、SPFという「木」は無いのだ。
S=スプルース(トウヒ属)
P=パイン(マツ属)
F=ファー(モミ属)
これらの強度の似通った木材をツーバイ規格で製材した混ぜこぜ材がSPFと1括りにされて売られている訳だ。さらに各材とも亜種でそれぞれ分類され植物学の分類では数種類の木が混ぜこぜになっている。製材所によってもブレンド内容は偏りがあるみたいなので、最早SPFとされたティンバー材を正確に仕分けするのはほぼ不可能だろう。まとめ買いした人の中には、明らかに「重さが違う」事に気付いた人も居るかもしれない、一般的にパイン系は重くスプルース系は軽い。
私が自宅ログハウスの材料を弄くっている時、明らかに「軽い」材料が交じっていることがあった。
垂木や間仕切りに使われる規格材だ、木材を長く扱っていると、人工乾燥材である程度均一な材料が用意された場合それらの重さはほとんど変わらない。明らかに2/3程度とか持てば分るレベルで重さが違う事は滅多にあることではない。重さが違うという事は比重が違うという事であり、それは材の個体差というよりは「違う材種の材料が交じっている」という事を指していると考えた方が自然だ。
ウチのログは素材100%この木ですよ と断言できるログキットは世間にどれだけ存在するのだろうか?
工場側が間違える事もあるだろうし、意図的に混入させるケースもあってもおかしくはない。
木材は日本であれ外国であれ「市場」で取引されるものだから、どこか一社だけが市場から格安に仕入れるなんてことは無い。特に森林管理が厳格に為されていれば為されているほど無い。
というのも山の所有者に、市場価格より安い値段で特定の相手に自分の木を売ろうなんてお人好しはそうは居ないからだ。
市場価格が分れば、ボリュームディスカウントはあるにせよその原料調達価格に大差は無い訳で、あとは加工の手間賃と建具などの調達価格、メーカーの利益だけがキット価格の構成要因となる。
価格競争に晒されている中で、自分の取り分だけは何が何でも確保しなくてはならないとなれば・・・
安いものには安い理由があり、高いものには高い理由がちゃんとあるのだ。
「信用」は「信頼」からしか生み出されないのではあるが・・・
裏切られたことが無いわけではない。
本物に出会ってしまったから。