チンキングによるログの部分補修です。
南東角のシルログ(一番下のログ)、クラックから入った水でログ上部が大きく腐食、腐った部分を取り除いて防腐剤でベタベタにしてからチンキングです。
まずそのままチンク材をつめるとカートリッジ1本あっちゅーまに飲み込んでしまいそうなのでチンク材を節約する為にもバックアップ材でかさ上げです。
クラックだとその割れ目にバックアップ材を詰め込んでやれば良いのですが、広い面となればバックアップ材が動かないようにタッカーで留めてしまいます。
深いところには太い奴を、浅いところには細い奴を、こうやってある程度凹を埋めてやります。
バックアップ材を使わずにある種のコンクリートボンドを放り込んで埋める手もあります。
今度はビッグストレッチを塗りたくって表面を形成します。
ビッグストレッチも水性なので荒整形したあとに指先に水をつけてペタペタなぞると綺麗な表面になります。上手くやれば先端の¬部も綺麗に形成できそうですが、ヘラとか使いきれないので曲面仕上げにしました。一晩乾かして塗装すればこの通りです。
一見するとこの部分が欠損していたとは分かりません。
そして東面のシルログ、ペンキが塗ってあるので表面的には良さそうですがペンキの裏側では確実に腐朽が進行していました。
サンダーをかけているとボッコリ穴が開いて木屑がボロボロ出てきます。
腐ってしまった部分を掘り出すとシロタの部分はほぼダメでした、赤身の芯近くはまだしっかりしていたためそこまでほじくって防腐剤をタップリと塗って・・・さぁて仕上げはと゜うしたものか。
当初は檜丸太からログの形に削りだした材をダミーカバーとして付ける予定でした、でもコストが更に積み増しされてしまうしこちら側は建物の裏側なので来客の目に触れる場所でもありません。
板でカバーしてくれりゃいいと言われても、ペラペラの板では役不足だし板金処理もまた目立ち過ぎてしまいます。そこでツーバイ材の41x140という板を上手く合わせてカバーしてみました。
板も厚みがあるので存在感は十分だし塗装すれば割といいマッチングです。(塗装した板を取り付けて更に再塗装しています)
他のログとの取り合いをシールしてやれば良さそうな仕上がりです。
そもそもこのシルログが傷んでしまった原因は「浅い軒」と「海からの湿った風」「東面」「ログギリギリまでのウッドデッキ施工」など複合要因によるものと分析しています。浅い軒で濡れたシルログ、東面で正午前には日影になってしまい十分に乾燥させることが出来ない場所です、さらに眼下の海から湿った風が吹き寄せ乾きにくいコンディションです。
追い討ちをかけるかのようにログギリギリまで張られているウッドデッキによってデッキに落ちた水が風に押されてシルログを濡らしてしまうような構造になっていました。
軒を伸ばすことは今更出来ないのでまずはウッドデッキの端を切って3-5センチのクリアランスを設けました。これでデッキに落ちる雨水がデッキの手前で落ちてくれます。ハネ返りの雨水からは塗装で守ります。更にカバーの板が腐っても容易に取り替えられます。
元はこんな風にデッキ板がログギリギリまで延ばされていました。
これでは風で水が押されてログをよじ登ってしまいます、また濡れたログの乾きも悪いですね。
デッキ板の端を少し切り落としました。これで雨水対策は結構改善されるはずです。
この対策で今後どれだけ半分腐ったシルログをガードし続けられるか・・です。
最初の設計時にもっと軒を長くしていればこんな事にはなっていなかったと思われます。
木造の建物は寺社仏閣のように深い軒で構造を雨水から守る、これは設計のセオリーとも言えますが、最近の建物はコストダウンやデザイン優先で軒を短くすることが多いですね。
あっ、軒先を貸して母屋を取られないようにしているのかもしれません。