木製のドア窓の意味

ウエストガーデン

2016年08月28日 15:39

ヨーロッパ諸国では、窓やドアは木製建具が主流です。
日本のアルミサッシは全くと言ってよいほど見られません。
これはフィンランドのラハティにある世界的にも有名なコンサートホール「シベリウスホール」のメインエントランスですが、これも木製ドアです。
厳寒の北欧ですからガラスは当然複層ガラスです。

なぜヨーロッパでは木製の建具が主流なのか?
日本のようにアルミサッシが用いられないのか?
理由は簡単

余りにも寒いので、アルミサッシだとフレーム触れると指がくっついてしまう・・・・
昔は冷凍庫の製氷皿は金属製で、氷を取り出そうとすると指にくっついてましたよね、あれと同じことが起きるからです。
今はプラスチックの性能がよくなったので、金属の製氷皿はみかけなくなりましたね。

日本は温暖な気候なので、窓の断熱性は近年まで問題視されることはありませんでした。
寒い地域は、窓やドアから暖房の熱が逃げていってしまうので、これを効率化すべく断熱されたドアや、複層ガラスで熱を逃がさない技術をどんどん発達させてきたのです。


ランタサルミが標準仕様で採用しているエストニア製の建具
木製建具も数あれど、かなり高品質な製品を作ってくれる小さなメーカーです。
小規模ゆえ、さまざまな無茶ぶりなオーダーにも応えてくれます。
以前のメーカーでは連装窓は単窓を現場でつなぎ合わせて1+1+1で3連窓としていましたが、このメーカーに依頼すると最初から3連窓を作ってくれるのです。
フレームに無駄な継ぎ目もなく、工場でフレーム塗装してくれるので仕上がりは最高級です。


組み立てられた建具と、これからのもの、奥に組み入れられる複層ガラスが見えますね。


エストニアは小さな国、大分県ほどの人口で九州全土くらいの国土で独立国家を維持しています。
旧ソ連ですから今の国の歴史は30年に満たない・・・男も女も老いも若きも分け隔てなく皆さん一生懸命に働いて、いいものを作ってくれています。
一応季節は夏なのですが、みなさん随分と厚着で・・・(^ ^;)
まぁソ連から離れて、昭和30年代から一気に平成になっちゃったって感じなんですから、製造業のカルチャーギャップも大変なものだったんでしょう。

最新式のNC加工機やモールダーマシンでパーツを削り出し、手作業でフレームを組立て、ガラスをはめ込み建具として完成させる。
非常にシンプルな作り。
それでいて高性能。(必要に応じてペアガラスやトリプルガラスのスペックが異なります)
画像の窓は表面にアルミプレートで覆われたタイプ
俗に言う「アルミクラッド」です。こんな製品も作っています。
日本の防火試験で性能が認められれば、準防くらいは対応できそうですが、膨大なテスト費用は掛けられないのが現状です。



そうやって作られるドアや窓は決して安いものではありませんが、そんなに高いものでもありません。
マーヴィンやプロフィンなど有名メーカーの建具と比べたら・・・・コッチのほうが断然良いですよ。
多少上乗せする程度で手に入るのですから。

2020年から住宅建築においては窓やドアの断熱性能が一定以上のものに規制されます。
ランタサルミの建具はいち早くそれに対応し、ペアガラスから性能を満たせるトリプルガラス仕様にアップグレードさせてあります。
国内のサッシメーカーさんもそれに習って複層ガラスの製品を投入してきていますが、やはりお値段はまだまだ高く、我々の木製サッシとの価格差もそんなに大きいものではありません。

現在は「網戸」装備の理由から、ドレーキップタイプ(DK窓・内開き、内倒しの2アクション)の建具を採用していますが、チルトターンもありました。ケースメント(外開き)もあります。

ランタサルミの窓やドアは、オーダーしてから製作されます。
作られた製品は、梱包されてフィンランドのログ工場に運ばれ、キットの一部としてコンテナに混載されて届けられます。




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