2009年04月14日

土地の話

家を建てるにあたり不可欠なのは「敷地」です。
では土地さえあれば、どこでも何でも建てていいのか?
と言えば、そうは問屋が卸しません。

土地には行政によって、勝手に一方的に制限がつけられています。
これは国土法や建築基準法や都市計画法、消防法や災害条例など国や地方の条例、更には住宅地や別荘地では近隣周辺での「自主規制」まで様々な法律が入り混じっています。

その中でも一番分かりやすいのは都市計画法ですね。
これは各自治体において大きく市街化地域(大いに街にするエリア)と市街化調整区域(田畑メインで街にしたくないエリア)とその他(未線引き地域)に三分し、さらに市街化地域の中で工業地域とか商業地域、第一種住宅地域とか第一種高層住宅地域とか用途指定別に分けて定めています。
これは住宅地の真中にいきなり工場が出来たり、高層マンションが建ったり、学校の隣に大型スーパーが出来たりなどの乱開発を防ぐ目的で定められています。
これらは不動産売買においては説明義務のある項目ですが、家を建てるつもりで土地を買う場合にはチェックは必要です。第一種中高層に指定されている土地であれば、隣に高層ビルが建てられても文句言えない訳です。
自分が今住んでいる場所がどういう指定を受けているのか、役所の都市計画化で聞けば教えてくれます。
実際には人が住んでいる上に網をかけているので、本来住宅が建てられない地域でありながら既存住宅が存在するなどがありますが、それらは法律が後追いなので割愛します。

そして基本的に市街化調整区域では「家を建てることはできません」
市街化することを抑制する地域です。
まぁ例外はあります、既存宅地とか既存不適格とかのキーワードで検索してみてください。
この辺りはとてもややこしいので割愛

そして家が建てられる土地は、地目は「宅地」である必要があり「農地」に家を建てることは出来ません。農地に家を建てる場合、各自治体に設けてある農業委員会に「農地転用」の申請を出し、農地を他の目的に変更する為の許可を得る必要があるのです。
つまり農地に家を建てると、登記地目が農地から宅地に変更になるのです。この地目変更の際に許可証が不可欠です。転用手続き無くして家を建ててしまうと「違法建築」となります。
農地に建てられる建物は、農業用の倉庫など一定の要件のものに制限されています。
これは農地法です。
家を建てられる地目として、宅地・原野・山林・雑種地などです。農地(田・畑)は転用必要、第一種農地(改良農地)は転用がとても難しいので注意が必要です。


これらは比較的たくさんの情報があり、ネットでも調べればややこしいですが大抵の事は分かります。
そして不動産屋が住宅地として販売している土地などは予めリサーチしてあることがほとんどです。

では問題になりやすいのは何か?
これは最初に書いた「その他の未線引き地域」です。
都市計画法は昭和51年かそこいらに全国の自治体に都市計画を定めるよう指示を出し、将来の町の姿を決めさせました。ここに道路を作るとか、こっちに工業団地を作るとか、駅前は再開発して住宅と商業ゾーンにするとか・・・これらをある程度「勝手に」作っているのです。
その中でも私が今住んでいるような「僻地」は利用価値もなくほったらかしにされています。
つまり必要な部分だけ囲って(線引きして)、あとは未線引きのままにしてあるのです。
未線引きなので市街化地域でもなく、市街化調整区域でもないので自由?
まぁ自由っちゃー自由なのですが、定めが無いから何をしてもいいのか?と言えばそれなりに大きな国土法などでカバーされている訳です。

田中角栄元首相は列島改造と叫び、日本にも別荘地など近代的な住環境整備が進められました。
その影で暗躍したのは原野商法と呼ばれた「価値の無い山奥の二束三文の原野を高値で売りつけた商売」が社会問題化します。
そして国は原野商法や乱開発を防ごうと市街化地域では500平米、それ以外でも1000平米とか3000平米(約1000坪)以上の土地の形状をいじくる場合には「開発行為申請」を出して許可を得るよう義務付けました。

田舎の広い土地を売買する場合、登記簿通りに丸々買えば問題は少ないのですが、広い土地を分割して小さくして買い、そこに家を建てようとすれば「開発申請」から求められる事があるので注意が必要です。

いざ家を建てるには「建築確認申請」の手続きを行ないます。
これは上で述べた用件をクリアしていることを証明し、法的に問題無いことをまさに「確認」する手続きです。ただ未線引き地域では確認してもらうにも、確認の根拠となる規制がない為確認のしようが無いですね、なので未線引き地域では確認不要で「工事届」を提出するだけでokという場合もあります。
ただこれも一定の大きさがあるので、城みたいなデカイ規制を超える大きさの家を建てる場合には他の手続きが必要になったりします。
ちなみに弊社の周辺は未線引き地域なので、普通の住宅程度の建物であれば工事届の提出のみで建てる事が出来ます。ただし、農地は転用手続きが必要です、原野はそのまま建てられます。

これらとは別に建築基準法では防火地域・準防火地域とかの火災予防上の制約もあります。消防法とはまた別ですよ。
そして防火の最も低い規制は建築法第22.23条指定地域です。
まぁ市街化地域は全域これに該当しますね。
敷地境界から一階部分で3m、二階部分で5m以上後退させれば良いのですが、そんなこと住宅地でやろうとしたらどんだけ広大な敷地が必要になるか・・・
その場合外壁は一定の耐火基準を満たす仕上げにする事でクリアできます。
皆さんの周りの住宅が、サイディングとかモルタル吹き付けの仕上げになっているのもばっかりなのはこういう背景があります。
そしてログハウスなど木を表に出す建物は「耐火基準を満たしていない」として制約されていました。
現在はログ壁自体の耐火性能が基準をクリアしている事を国が認めていますので、これらの仕上げや木板張りも耐火基準を満たす不燃加工された製品を用いることで可能となっています。



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Posted by ウエストガーデン at 11:56│Comments(0)家を建てよう
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